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2006/05/26
わかりやすい行政用語
随意契約 ずいいけいやく
平成18年4月頃から、衆院行政改革特別委員会で民主党議員が取り上げたことから、各紙で頻繁に取り上げられている言葉。
■随意契約とは?
・国や地方自治体の場合、企業等との事業者と物品の売買、業務委託、工事請負などの契約をする手法が法律で定められている(国→会計法、自治体→地方自治法)。
・原則は、一般競争入札である。「○○を買います」「○○業務を委託します」「○○を建設します」という目的・仕様などを明示し、これらを国や自治体に「売りたい」「受託したい」「請け負いたい」という事業者を募集するのである。応募のあった事業者による入札の結果、それらの物品・業務について、最も安い価格を付けた事業者と国・自治体が契約することになる。──これが、原則。
・しかし、その契約の性質によっては、競争入札することが不適切な場合がある。そこで、そうした場合には、競争入札によらず特定の事業者と契約することができる。これが、随意契約。
■随意契約できるとき ※地方自治体の場合(国の場合も大差ないと思われますが、調べていないので確実なことは言えません)
・地方自治法施行令(第167条の2)で、随意契約できる場合が定められている。具体的には、下記のとおり。
| | 都道府県・指定都市 | 市 町 村 | @ 工事又は製造の請負 | 250万円以下 | 130万円以下 | A 財産の買入れ | 160万円以下 | 80万円以下 | B 物件の借入れ | 80万円以下 | 80万円以下 | C 財産の売払い | 50万円以下 | 30万円以下 | D 物件の貸付け | 30万円以下 | 30万円以下 | E @〜E以外のもの | 100万円以下 | 50万円以下 |
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2 性質または目的が競争入札に適しない場合
3 障害者更生施設・授産施設、シルバー人材センター、母子福祉団体などで製作した物品の買い入れや役務の提供を受ける場合
※個々の団体については詳細な定義あり
4 ベンチャー企業が生産する新製品を買い入れる場合
※企業の定義、契約手続には詳細な定めあり
5 緊急の場合(競争入札の手続きをとる時間がない場合)
6 競争入札をすることが逆に不利になる場合
7 時価よりも著しく低額で契約できる見込みがある場合
8 競争入札したものの応札者が無かった場合、または再入札したものの落札者が無かった場合
9 落札者が契約しなかった場合
■随意契約の何がいけないの?
・新聞報道等で問題視されているのは、そのほとんどが上記の2「性質または目的が競争入札に適しない場合」に該当する随意契約である。
・どういう場合が「競争入札に適しないか」ということが、他の基準(1、3〜9)に比べて裁量の余地があるため、「拡大解釈」されている──というのが、新聞報道等の論調である。
・紙面等を見る限り、随意契約の件数や金額(総額)ばかりが話題になっていて、随意契約そのものを問題視するものが多い。つまり、「随意契約は本来してはいけないもの」とする論調だ。
・その根拠として、随意契約の大半が「法律を拡大解釈して、本来、随意契約できない案件まで随意契約している」と主張しているものが多い。
・しかし、ちょっと待て。上記のとおり法律で随意契約を認めているものも多いし、また、上記2に該当する随意契約の全てに問題があるわけでもない。だから、勝手に「随意契約=悪」の図式を描いて、安易にそれを広めてもらっては困る、と思うのだ。
・いずれにせよ、まるで全ての案件が拡大解釈で随意契約されているような報道は慎まれるべきである。
□行政側も反省するべき
・とは言え、反省すべき点は反省する。
・確かに、本来競争入札すべきものと思われる契約が、随意契約されている例もあるようだ。これについては、それと気がついた時点で直ちに改める必要がある。
・例えばこんな理由で、随意契約をしている場合には、「本当にそれでいいのか」と振り返ってみる必要があるだろう。
●○○に関する高度な専門知識、経験が不可欠であり、これができるのはこの企業しかない。
●過去の契約等により、この企業には多くのノウハウ、著作物が蓄積されており、この事業を最も効率的に実施することができるのは、この企業である。
●現在導入している設備の保守業務は、メーカーであるこの企業にしかできない。
※京都府が、平成18年4月から随意契約の内容・理由等を公表しているので、具体的な随意契約理由を見てみたい人は京都府のサイトを見てみましょう。個人的には、「これはちょっと理由になっていないと思うのだが…」と思うものもあるが、衆人の目にさらし、自らを律していこうという姿勢に好感が持てる。
□ちなみに、国の各省庁による随意契約の多さはこんな感じ
・とはいうものの、国の各省庁の随意契約件数の多さには、ちょっと驚く。例えば、環境省の発注した契約のうち90%以上(2004年度・1件500万円以上の案件・恐らく件数ベース)が随意契約、国土交通省、内閣府、外務省、経済産業省も80%以上が随意契約というのは、正直なところ、おかしいと思う。法で定められている低額の案件を除いているのに、こんなに随意契約率が高いのは確かに違和感を覚える。そりゃ、安易に随意契約していると非難されるのもやむを得んかな、と思うのである。
・ちなみに、岐阜県の場合、件数ベースで約23%、金額ベースで約15%が随意契約(いずれも2003年度・県議会答弁・法で定められた少額の契約は除く)である(少しデータは古いが)。
・さらにちなみに、新聞報道によると、国は、これまで随意契約で実施してきた事業について、受注を希望する事業をHPなどで公募し、企画内容などで競争させて業者を選定することにしたそうだが、ちょっと待て。一見すると、とても良いことのように思えるが(しかも新しい手法のように聞こえるが)、そうなのだろうか。地方自治法施行令第167条の10の2に定めている総合評価一般競争入札とはどう違うのか、ちょっと疑問(国にも類似の制度があるはずだ)。
ミニ知識【総合評価一般競争入札】
・入札の最低価格を付けた企業以外とも契約が可能な手法。
・評価基準を、価格以外にも定めることができ、その評価基準に沿って総合的に判断した結果、最も有利な申込者を落札者とすることができる方式。
□所管公益法人や独立行政法人との随意契約
・報道等で随意契約に絡めて問題視されているのは、各省庁の所管する公益法人や独立行政法人に対する安易な随意契約が多い、とするものである。
・その公益法人、独立行政法人に国の天下り職員が多いということが問題視された。つまり、天下り職員のいる法人に優先発注しているのではないか、という疑念を抱いたわけである。
・さらに、その天下り先から、別の企業に対し、受託した事業が再委託されている場合も多いという指摘もなされている。つまり、天下り先法人は、自分で仕事をせず、請け負った仕事を他人にやらせているのではないか、という疑問を持たれているわけである。故に、不適切な支出を誘発するおそれのある天下りは問題だ、という方向への議論もある。
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