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2006/07/10
わかりやすい行政用語
派遣法 はけんほう
公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律
正式名称は、「公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律」。長い…。
地方公共団体が公益法人等の業務に従事させるために職員を派遣する制度等を整備するためにできた法律。平成12年4月成立、平成14年4月施行。
■職員派遣とは?
・文字どおり、職員に特定の任務を負わせて、当該自治体以外に行かせること。一般的によく使われている言葉で言えば、「出向」。
・在職派遣(職員としての身分を有したまま派遣)と、退職派遣(一旦退職のうえ派遣)がある。いずれも、派遣期間満了の場合は復職する(特段の事情がなければ)。
■法律ができた理由
・全ての職員は、属する自治体の職務に専念する義務を負っている(地方公務員法第30条・第35条)が、公益上の必要から、つまり、行政目的達成のために、職員を別の業務に就ける必要がある場合がある。そんなときには、職員の職務専念義務が免除される(自治体の仕事に就かなくてもよい)とされている(法第35条)。
・もちろん、その「必要な場合とはこんなとき」ということを、法律や条令で定めることが必要だ。
・この「公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律」も、その「必要な場合」を定める法律の一つ。
・職員を公益上の理由(地域振興などの施策推進のために必要がある)により、別団体の職務に従事させる(職員を派遣する)必要がある場合の手続や職員の身分取扱等を明確化するために作られた。
・法成立は、平成12年4月であるが、この法律ができる前から、実を言えば、各自治体では公益法人や営利法人などへの職員派遣を実施していた。
・その根拠としては、上述のとおり、地方公務員法(第35条)で「法律又は条例に特別の定がある場合」にはその職責を免除することができる旨の規定があるからだ。※つまり、派遣自体は違法ではなかった。念のため。
・この条文に基づき、多くの自治体では、職務に専念する義務の特例を定める条例を作って、その条例の中で、「職務専念義務を免除される場合とはこういうとき」ということを、具体的に定めていたわけである。
・従来は、上述の方法で職員派遣が実施されていたのだが、公益法人等への職員派遣に関する住民訴訟等が各地で起こるようになった(らしい)。※「らしい」と言うのは、私がその事実を確認したわけではないから。
・平成10年4月24日には最高裁判決もあり、これらの状況を踏まえ、職員派遣の際の統一的なルールを定めることにしたものである。早い話が、各自治体で派遣ルールがまちまちであったことから、職員派遣の際に守るべきルールを明確化することにしたものである。
・当時の自治大臣も、第147回国会 地方行政・警察委員会(平成12年3月30日)で、こう説明している(議事録から転載)。
自治省としては、こういう現状を考えまして、公益法人等への職員派遣について適正化あるいは透明化ということを図っていかなければならぬ、それから派遣されます職員の身分の取り扱いを明確化する必要がある、こんなふうに考えているわけでございまして、今回御提案を申し上げます法律案によりまして、こうした問題をより透明化された一つのルールのもとに置いてそうした訴訟にもたえられるような法制度を準備していかなきゃならぬ、そういう趣旨でこの御提案を申し上げておるわけであります。
・ちなみに、この最高裁判決は、東京高等裁判所の判決を破棄、差し戻ししたものであり、職員派遣の適否を判断したものではない。
【件名】
【事案の概要】
・茅ケ崎商工会議所に派遣された茅ヶ崎市の職員に対する給与支出が違法であるとして、住民が市長等を訴えたもの。
・職員派遣当時、市では、低迷している市内の商工業の活性化が重要な課題となっており、商工会議所と共同して商工業発展のための各種事業を実施していた。
・一方、商工会議所では、その頃、専務理事が退任するため、後任として市職員の派遣を市に要請。市は、職員を派遣することにより、商工会議所との連携をさらに強め、市の施策展開にも有効であると判断して、商工会議所と協定を結んだ上、職員を派遣した。
・当然ながら、市では、職員派遣するための条例は整備済みであり、茅ヶ崎市職員の職務に専念する義務の特例に関する条例(昭和26年茅ヶ崎市条例第61号)2条3号の「前二号に規定する場合を除く外市長が定める場合」という規定に基づき、派遣したものである。
【判決(破棄差戻)の理由】
●東京高等裁判所の判断
・上記のような事実により、派遣の必要性、合理性が認められることから、派遣自体に特段の問題はなく、条例の規定どおり、当該職員の給与が市から支給されていることは適法と判断した。
●最高裁判所の判断
・本件職務専念義務の免除及び本件承認を適法と判断するためには、行政目的の達成と職員派遣との具体的な関連性が更に明らかにされなければならない(早い話が、高裁の事実認定は甘い)。
・高裁は、「商工会議所の実際の業務内容がどのようなものであって、それが市の商工業の振興策とどのような関連性を有していたのか」、「商工会議所における派遣職員の具体的な職務内容がどのようなものであって、それが市の企図する商工業の振興策とどのように関係していたのか」などについて、十分な審理を尽くした上で、職員派遣について、公益上の必要性を検討なければならなかったのに、十分に審議を尽くさないまま、適法の判断をしてしまった。
・従って、高裁はもう一度きちんと審議すべきである。
■制度の概要は?
@公益法人等への派遣制度、A営利法人への退職派遣制度の2つの制度を新設。
@公益法人等への派遣制度
・対象法人を限定し、身分を有したまま派遣
【対象法人】
・地方公共団体の事務・事業と密接な関連を有する業務を実施する公益法人等のうち、施策推進を図るため人的援助が必要なもの。条例での定めが必要。
【派遣前に必要な手続き】
・任命権者と対象法人との間で業務内容等について取決めを締結(主として地方公共団体の事務・事業と密接な関連を有すると認められる業務等に限定)
・職員に取決めの内容を明示し、職員の同意を得ること
【派遣の条件等】
・期間:3年以内(5年まで延長可)
・取決めに従って対象法人の業務に従事
・給与:委託業務や共同業務等に従事する場合には支給可
・服務:「信用失墜行為の禁止」「政治的行為の制限」等身分上の服務の適用あり
・期間満了の場合等には復職
A営利法人等への派遣制度
・対象法人を限定し、一旦退職のうえ派遣
【対象法人】
・当該地方公共団体が出資している株式会社又は有限会社のうち、次の条件を満たすもの。
・業務が公益の増進に寄与するとともに、地方公共団体の事務・事業と密接な関連を有し、施策推進を図るため人的援助が必要なもの。条例での定めが必要。
【派遣前に必要な手続き】
・任命権者と対象法人との間で業務内容等について取決めを締結(主として地方公共団体の事務・事業と密接な関連を有すると認められる業務等に限定)
・職員に取決めの内容を明示
・任命権者の要請に応じ、職員が退職
【派遣の条件等】
・期間:3年以内
・取決めに従って対象法人の業務に従事
・給与:支給せず
・服務:適用なし
・期間満了の場合等には、地公法の欠格条項に該当する場合等を除き採用
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